井戸水検査が急増 ヒ素検出報道受け

井戸水検査が急増 ヒ素検出報道受け

 印西市山田地区の井戸水から、水質基準値を超えるヒ素が検出されたという本紙報道を受け、印西市内の水道未給水世帯から井戸水検査の申し込みが急増している。本来ならば市民に安全な水道水を供給するのが印西市の役目だが、一向に進まない印西市の水道整備事業に対し「今さら市長に言ってもしょうがない」と、板倉正直市長へのあきらめの声が市民の間から上がっている。

 印西市環境保全課によると、11月6日に市が窓口となって井戸水水質検査を受け付けたところ、市内各地区から計8件の検査依頼申し込みがあったという。
 水質検査を申し込んだ住民の1人は「利根新報の記事を見て、1回調べてみようと思った」という。同課によると、今まで自宅井戸の水質検査をした事が無かった世帯とみられるという。家庭での飲用に使う井戸水は水質検査の義務はないが、厚生労働省の「飲用井戸等衛生対策要領」によると、飲用井戸水の検査は年1回が望ましいとされ、水質基準に適合している必要がある。
 今年8月頃に印西市山田地区の住民の井戸水から、水質基準値を超えるヒ素が1㍑当たり0・015㍉㌘が検出された。ヒ素は毒性が強く、水質基準値で「1㍑当たり0・01㍉㌘以下」とされる。市ではヒ素を除去する特殊な浄水器の取り付けへの補助金を出しているが、一時しのぎの対処療法でしかない。

「今さら市長に言ってもしょうがない」板倉市長にあきらめの声も

 印西市松崎地区の60代女性は「近くの松崎工業団地までは水道は来ているけど『工業用だから一般の水道とは違う』と言われた」という。これまで千葉県水道局広報紙「県水だより」にも投書した事があるが、現在も井戸水を使わざるを得ない状況に変化はない。
 女性が以前住んでいた長柄町は、早い時期から水道整備が進んでおり「子どもの頃から水道水を飲んでいた」という。約40年前に旧印西町(現在の印西市)に来てからは「生水は飲んだ事は無い。必ず沸かしてから飲んでいる」という。
 女性は「今さら市長に言ってもしょうがない。もう40年も経っている」と話した上で、「印西市が何かしてくれるか期待していない。生きているうちは水道が来ないだろう」と、諦めの境地を明かした。
 千葉県営水道船橋水道事務所千葉ニュータウン支所は取材に対し「印西市から請願の話はいただいている」と述べた上で、県営水道の給水区域が決められている事などを挙げて「井戸水に不安があるのは分かるけど、『(県営水道が)給水できるかも』とは今の段階では言えない」という。
 印西市が今後どのような方針で水道問題に臨むのか、成り行きが注目される。

読者の声

 本紙11月号を読んで編集部に寄せられたお手紙から「印西市の水道問題」に関する読者の声の一部(要旨)を紹介します。
   ◆   ◆   
 印西市の水道問題、本当に大問題なだ!と改めて感じる内容となってますね…。
 簡単にはいかないと思いますが、水道管引かれるといいのにって、やはり思ってしまいます。
  (栄町・30代女性)
   ◆   ◆   
 井戸水からのヒ素検出はジワジワと健康に害を及ぼす。産業廃棄物の埋物の原因が大いに考えられる。日々監視が求められる。
(我孫子市・70代男性)
   ◆   ◆   
 印西市の水道問題、利根新報さんの記事で知ることができました。次号も楽しみにしています。
 (印西市・70代女性)

印西市の水道給水区域拡大に関する本紙記事

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