印西市議会定例会は９月１日から29日までの29日間開かれた。６月議会で採択された、印西市内の水道未給水地域への給水を求める「給水区域拡大に関する請願」に関する質問での、板倉正直市長の答弁について、市民の間から失望の声が上がっている。
会派代表質問の９月４日、会派「至誠」代表の中澤俊介市議が、６月議会で採択された「給水区域拡大に関する請願」に関し「市長は水道事業について、この願意を推し進めたいと思うのか」と質問した。
板倉市長は「全域を即（給水区域に）やれる、という事は、中々難しい問題です」と述べた上で「例えばニュータウンの給水区域の周りは大きな変化を遂げてまして、ああいう所につきましては県の水道課と協議しながら『不拡大方針はあるかもしれないけど、その辺は何とか時代の状況を見て、県の水道課の皆さんもその辺の状況を把握して、議会の承認も得ているので、そういう方向で県に伝えてくれ』と話をしてあります」と答弁した。
議会を傍聴した市民からは「何を言っているのか趣旨が分からない」「やる気がない。事実上のゼロ回答に等しい」「地域間格差を是正できない市長はいらない」と、要領を得ない板倉市長の答弁に失望の声が上がった。
別の市民は「板倉市長から『市内全域を給水区域に指定します』との答弁を期待していたのに、裏切られた思いだ。市民の請願を何だと思っているのか」と憤りを見せた。
請願書を出した市民からは「議会軽視の執行部なんてあり得ない。市長は問題を理解していないし、副市長はやる気がないし、職員は市長の指示を無視して全く動かない。地方公務員法の服務規程に違反しているとしか思えない」と、厳しく批判した。
本会議中に杉山甚一副市長が板倉市長に耳打ちする場面が見られ、市民の一人は「あの市長答弁は、給水区域拡大に後ろ向きな副市長に言わされたとしか思えない」と、批判の矛先を杉山副市長にも向けた。
記者会見でも後ろ向き回答「まずは現状把握」
印西市が給水区域拡大に後ろ向きな姿勢は、記者会見でも見られた。
記者会見で、６月議会で採択された「給水区域拡大に関する請願」についての質問で、伊藤武行上下水道部長は「いろいろ調査しないと、まずは現状の把握をしたいと考えている。それについて来年度で準備経費を（予算案に）計上していきたい」と答えた。
千葉県内54市町村のうち、市町村内に未給水地域がある自治体は印西市を含めた５市１町。特に印西市は総面積の約40％強が未給水地域で、過去に千葉ニュータウン開発事業に協力した人々を含め、未給水地域の市民は、上水道の恩恵を受けられないのが現状だ。
未給水地域の市民からは「まずは市内全域を給水区域に指定してから調査をすべき。やるべき仕事をせずにうやむやで終わっては困る」と指摘した。
別の未給水地域の市民は「旧印旛村は給水地域となっているので当然自宅まで水道管を入れてほしいが、未給水地域があるのを知り、やはり市内全域が給水地域にならない事には、私の地区に水道を入れてくれとは言えない」と述べた。
読者からの声・印西市の水道問題に関して
本紙８月・９月号を読んで編集部に寄せられたお手紙から「印西市の水道問題」に関する読者の声の一部（要旨）を紹介します。
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水道未給水地区に住むのでとても参考になりました。井戸水の検査も一度もしていません。
実家では子どもの頃に水道を引いてもらっていたので、印西市はどうしてなのかと思っていました。
（印西市・60代女性）
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印西市の中でそんな事が起きているとは全く知りませんでした。
（印西市・70代女性）
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いまだ井戸水を使用している地区があるのにびっくり。よく水質検査をした上で災害時に役立ててほしいです。
（印西市・70代女性）
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印西市は合併後すぐ取りかかるべきことをやっていなかったのか。市民の健康に直結することであり、すぐ水道を整備しないといけない。
（白井市・60代女性）
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当たり前のように水道水を使って水道代を払っていたので、（９月号）記事内の「『水道水を買う』というのに慣れていない方もいる」という役所の方の文言を読んで、改めて色々な考えの人がいることを実感しました。
水道か井戸水の選択肢が今のところ無い、というのがつらいですね。個人でどうにかなる問題ではないので、市あるいは県にもっと力を注いで問題に取り組んで欲しいです!!
（栄町・30代女性）
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印西市に井戸水を使っている小学校があることを初めて知りました。
（船橋市・50代女性）
