印西地区環境整備事業組合(管理者・板倉正直印西市長)が、印西市吉田地区に建設予定の次期クリーンセンター建設工事請負契約を、他の入札者より約28億円高い約290億円で入札した「JFEエンジニアリング」グループに決定した件で、住民監査を請求した市民有志は同組合に対し、入札者を審査した選定委員会の会議録などの情報開示を請求した。市民有志は3月18日時点で会議録を含め計11件の情報開示請求を出しており、約28億円高い業者に決まった経緯が明らかになるかが焦点になる。
住民監査請求は却下 「却下の結論ありき」と批判 監査請求再提出へ準備
市民有志は2月9日、同組合監査委員に住民監査請求を申し立てたが、3月6日付で請求は却下。同月11日に通知が届いた。
却下理由について市民有志の徳本悟さん=白井市=は本紙の取材に応じ「組合は『個別的具体的に請求理由を書け。どの法律のどういう事で不法・不当なのかを具体的に書くのが監査請求の条件』というが、監査請求の要件は十分に満たしていると思っていたので、言いがかりと思っている」と語った。
請求却下の前に組合側から住民監査請求書の補正を求められ、返事を書いて再提出したが、結局は却下された。組合側の「要件を満たしていない」との主張に対し、徳本さんは「どの法律、条文に書いてあるのか教示してくれ」と求めたが応じなかったという。
「最初から『監査を却下する』という結論があってやっている」と、徳本さんは組合側を批判。その上で「監査請求は『不法』か『不当』かを請求の要件にしている」と述べ、却下できないような表現に修正して再度監査請求を出し直す方針を明らかにした。
組合側は取材に対し「結果的には住民監査請求を却下した。今のところは詳しい事はお話しできない」との回答にとどまった。
開示されない会議録「隠しているとしか思えない」
市民有志が公文書の情報開示を求めているが、核心となるのはJFEグループと神鋼グループへの「非価格要素」に関するヒアリングを行った第5回選定委員会(昨年8月10日実施)と、ヒアリング後に採点を行い最優秀提案者を決定し、審査講評案を審議した第6回選定委員会(昨年11月21日)の会議録。
今回の入札を巡っては、価格点で優位の神鋼グループが非価格要素点ではJFEグループに逆転され、0・35点差で約28億円高いJFEグループに決まった事から、選定委員会の会議で非価格要素についてどのような議論が行われたかが問題のカギとなる。
しかし、第5回の委員会会議録は会議から半年以上経っても公開されず、情報公開に消極的な組合の姿勢に「隠しているとしか思えない」と不満を示した。
徳本さんたち市民有志は3月中旬頃に、国会で環境委員を務める野党の国会議員に面会するなど活動しており「あきらめずにやっていこうと思う」と、粘り強く取り組む意志を見せた。