北総鉄道・室谷社長が講演 「沿線地域の活性化」掲げる

北総鉄道・室谷社長が講演 「沿線地域の活性化」掲げる
講演する室谷正裕・北総鉄道社長

 北総鉄道の室谷正裕社長が9月18日、印西市内のホテルで開かれた、印西市商工会青年部主催の講演会で「北総鉄道運賃値下げと地域活性化戦略について」のテーマで講演した。
 室谷社長は、1979年開通の北総線の歴史に触れ、京成高砂~新鎌ヶ谷間の2期線が開通した91年度からしばらくの間は「利払い費だけで70~80億円、入ってくる収入は50億円」と、累積損失がピーク時は約450億円までに増え続けた経緯を振り返った。
 一方で2000年度から連続21期で利益を上げ累積損失を減らし、21年度末の累積損失を14億円に抑え、22年度末に累積損失解消の見通しが立ったものの「まだ600億円の借金、有利子負債を抱えている」と、運賃値下げ実施後も依然として厳しい経営環境にある現状を説明した。
 高運賃問題については、人口34万人を見込むも想定外だった千葉ニュータウン構想を掲げた「行政の責任」と、累積赤字問題を先送りし、経営支援と引き換えに値上げを迫った「日本的解決法」の2点を挙げて持論を展開した。その上で室谷社長は「これからは未来志向でいこう」と述べ、次の経営戦略で「沿線地域の活性化」を掲げた。
 運賃値下げでは「これからが正念場」として、北総線沿線エリアの認知度向上や沿線地域の住みよさをアピールし、運行本数を増やすなど、利用者を増やしていく考えを述べた。
 また、室谷社長は「鉄道会社にできる事は限られている」とし、沿線活性化には、自治体の積極的な取り組み、沿線外企業の誘致、商工会やNPOとの協力の必要性を説き「沿線と共に発展する鉄道会社」を掲げていく姿勢を示した。
 会場からの質疑応答で、今後の運賃値下げの可能性に関し、室谷社長は「私たちも10月1日の運賃値下げでおしまい、とは思っていない」と述べた上で、運賃値下げを再度実施できるように経営体質の改善や収益力の向上を進めていく考えを示した。
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 主催者の印西市商工会は、10月中に講演会の動画を配信するという。詳しくは公式サイトで。

https://www.inzai.or.jp/

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