栄町長選 橋本浩氏が当選 新人3人の激戦制す

当選後の初登庁で職員から花束を受け取る橋本浩新町長(右)=5月23日、栄町役場前

 任期満了に伴う栄町長選挙は5月15日に投開票が行われ、新人で元町議会議長の橋本浩氏(45)=無所属=が、新人で元町職員の池田誠氏(63)=無所属=、新人でゴルフ総合アドバイザーの加藤孝氏(44)=NHK党=の2人を破り初当選を果たした。投票率は53・67%で、前回投票率の47・35%より6・32%上がった。当日有権者数は1万7549人(男8665人、女8884人)。

 橋本氏は「町民が希望を持てる町づくり」として、災害時支援拠点の設置や子育て支援・相談体制の充実などの公約を掲げ、幅広い年代の有権者の支持を集めた。選挙戦では現職の岡田正市町長と町議をはじめ、松本尚衆議院議員、岩井泰憲県議、中澤俊介印西市議会議長など国会議員や町選出の県議、近隣市町村の市議らの支援を受けて、激しい選挙戦を勝ち抜いた。
 池田氏は町職員の経験を全面に出し農業の6次産業化などを訴えたが競り負けた。
 加藤氏は町政の刷新と改革を訴えたが、有権者の支持の広がりを欠いた
 15日午後9時30分頃に当選の一報が入ると、栄町安食の選挙事務所では歓声が沸き、橋本氏は支援者らと一緒に万歳三唱をして当選を喜んだ。
 祝賀会で橋本氏は「これはひとえに私個人の勝利というわけではなく、ご支援いただいた一人ひとりの皆さまの栄誉だというふうに心から思っています」と、支援者らに感謝した。
 その上で選挙戦で訴えた公約に触れ「町民の命を大切にしていく町づくり、若い人でも住みやすい町づくり、健康でいきいきと生活できる町づくりに全力で取り組んでまいりたい」と述べた。


◆橋本氏「全身全力、全霊でこの町の為に頑張っていく」


 橋本氏は報道各社とのインタビューで「日に日にご支援いただく方々が本当に増えていって、厳しい戦いだったが最後まで戦いきることができた」と、選挙戦を振り返った。その上で「皆さんのご期待に応えられるように、その責任をしっかり全身全力、全霊で、この町の為に頑張っていく」と抱負を語った。
 公約に掲げた「町民の命を大切にしていく町づくり」については、自身が参加した阪神大震災や東日本大震災でのボランティア活動に触れ「2、30年前に比べ災害も大規模化している」と述べ、災害対策を第一に据えて「安心安全の町づくり」を進めるとして、印西市や成田市など近隣の医療機関との連携強化を進める方針を示した。
 町内の産業活性化では、町内の観光拠点「ドラムの里」を「町内の産業の拠点になるように支援していきたい」として機能強化を図り、栄町産の農産品販売や情報発信に活用する考えを示した。一方で「道の駅」構想については「機能的にドラムの里と重なる部分がある」として、ドラムの里の機能強化を優先する姿勢を強調した。
 JR安食駅の改修は、町民アンケート調査の結果を踏まえ「利便性を整えつつ財政負担を抑えて今の時代に合った駅づくりを模索していきたい」と語った。

【栄町長選・開票結果】

=選管確定=
5406 橋本浩 45 無新
3647 池田誠 63 無新
  259 加藤孝 44 N党新

解説 怪文書はねのけ勝利の橋本氏 町内の融和を図り町政運営を

【解説】栄町の有権者は、45歳の情熱あふれる若きリーダー・橋本浩氏に町の将来を託した。橋本氏は町長就任早々に、町財政の立て直し、人口減少問題などの山積した難問に立ち向かう事になり、4期14年の町議経験で培った手腕と実行力に期待が集まる。
 選挙戦では橋本陣営を中傷する怪文書が複数回配布されたが、有権者が冷静に判断した結果、橋本氏は得票総数の58%、5406票を獲得。橋本陣営の運動員は「かえって陣営が引き締まった」と振り返る。
 一方で「橋本さんでは若すぎる」として、元町職員の池田誠氏が、得票総数の39%、3647票を集めた。選挙経験が初めての池田氏が得票を伸ばした背景には、38年の豊富な行政経験への期待に加え、現職の岡田正市町長への批判票が集まったと見られる。
 新町長の橋本氏は、池田氏に投票した町民の意思を無駄にすることなく、町内の融和を図りながら町政運営を進めてほしい。


N党 町長選では22年ぶり供託金没収 これが栄町の民意だ!

【選挙こぼれ話】
 今回の選挙は「町長選立候補者が供託金没収」の珍事が起きた。NHK党公認の加藤孝氏が、供託金没収の基準である「法定得票数の10分の1」以下の259票しか取れず、供託金50万円の没収が決まった。
 町選挙管理委員会によると、町長選立候補者の供託金没収は、2000年の町長選以来22年ぶりで「それ以前は資料が無いので分からない」という。
 加藤氏は、動画配信を活用するなどユニークな選挙戦を展開したが、有権者への支持の広がりを欠いたのは否めない。同党は、千葉県北総地域の首長選では2020年の印西市長選に続き2敗目で、まさに「これが栄町の民意だ!」というのを痛感しただろう。
 没収される供託金50万円は栄町の歳入となり、町の財政に貢献した点だけは評価してもいい。

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