【松本尚衆議院議員コラム】見て、聞いて、永田町 第10回 肖像画あれこれ

松本尚衆議院議員

 皆さんがテレビで見る第一委員室を除いて、衆議院内の委員室(衆議院では委員会が開かれる部屋をこう呼びます)の壁には国会議員の「肖像画」が飾られています。
誰でも肖像画を飾ってもらえるわけではなく、国会議員在職25年以上の議員がその対象です。現在は全部で161枚が掲げられていて、その他に帝国議会時の画37枚を含む233枚が倉庫に収納されているそうです。

 肖像画の掲額は、帝国議会時代の昭和10年に30年以上の在職者の姿を院内に掲揚し、記念することが決められたことに始まります。その後、昭和16年に在職25年とすることに改められました。当初は議員がお金を出しあって作成したそうですが、名誉なことだからという理由から国費で賄われるようになりました。現在では平成14年より自費負担となっていて(今の時代、当然でしょうね)、それ以降は権利を得た議員のうちの6割が作成しているそうです。
 掲揚される場所は委員室と決まっているので、新しい画が出れば“トコロテン方式”に一番古い画が外されて倉庫行きとなります。令和4年11月の時点で一番古いのは昭和63年8月掲揚の画だそうです。

 画の構図を見てみるとこれが面白い。スタンダードなのは写実的な、つまり見てすぐに誰だかが分かるものです。ポーズの多くは左半身をやや前に出して椅子に座っているものです。背景はぼんやりとした単一の色の画が一般的なようです。
 ぱっと見て目立つのは、普段着で趣味に興じている様子など日常の一コマを描いたものです。背景が波しぶきの舞う荒海だったりする豪快なものもあります。テレビでよく見た有名な議員さんの画も多く、現職の議員などは若い頃の顔立ちと今のギャップに驚きます。出色なのは印象派的絵画で、「ムンクの叫び」のような画もあって、そうなりますともう誰が誰だかまったく分かりません。額の下には名前のプレートがあるので、右から左に書かれているので、そんなところは帝国議会からの歴史を感じます。
 委員会を傍聴するとき以外は一般の人の目に触れることのない肖像画ですし、今では希望者による自費作成ですから、自由な肖像画になっているのでしょう。委員会中はちょっとした美術館にでもいる気分になります。

 国会内の委員室に肖像画が掲げられているということは25年以上もの間、有権者の皆さんの支持を得てその職に就いている(いた)ということですから、このような形で顕彰されても良いと思います。25年後の私は85歳、印象派の画にしようと思います(笑)。

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