【松本尚衆議院議員コラム】 見て、聞いて、永田町 第7回 国葬儀報告

松本尚衆議院議員

 9月27日、日本武道館にて故安倍晋三元内閣総理大臣の国葬儀が執り行われました。参列者の一人として、皆さんにその様子などを報告しておきたいと思います。

 参列者は国内外から約4,200人、その他にも献花に訪れた人は約26,000人と報告されています。テレビの生中継をご覧になった方も多いと思いますが、現場にいて伝わってきたのは、総じて厳粛でありながらも温かみを感じる葬儀であったのではないかということです。
 冒頭の国歌演奏と黙祷の後、安倍元総理の生前の姿を記録したビデオが上映されました。映像はご本人自ら「花は咲く」のピアノ演奏を始めるところからスタートし、このメロディーが流れる中、国会や選挙での演説の様子、多くの国際会議での写真、プライベートショットなどが正面のスクリーンに映し出されました。最後、演奏が終了した後、ミスタッチしたピアノの音が一音入ったため、「(ビデオ撮りを)もう一回いく?」と苦笑いしたところで映像が終わる。安倍元総理の気さくな人柄が伝わるエンディングだったと思います。このとき、誰彼となく拍手が起こったことで、この後の葬儀全体が“温かみを感じる”ことになったのではないかと思うのです。

 メディアでは友人代表としての菅義偉前総理の追悼の辞が話題になりました。このときに紹介された岡義武著「山県有朋」は――まったくの偶然ですが――私がちょうど国葬儀の数日前に読み終えた本でした。山県が伊藤博文の死を悼むくだりは私も記憶に残っていました。葬儀の後、安倍さんの真似をして自分の本のそのページの端を折り、引用された山県の歌の部分にマーカーペンで線を引いたのは言うまでもありません。

 菅さんに比べて岸田総理の弔辞が形式的だったと言われるのは気の毒に思います。葬儀委員長であり、現職の総理としてはあまりくだけた内容にはできなかったでしょう。それでも初当選同期として安倍さんに対する畏敬と友情は十分に伝わってくる辞であったと思います。
 天皇陛下の勅使や上皇使の御拝礼、皇族方の御供花に続き、参列者全員の献花が行われました。私も祭壇の前に立ち、遺影を見上げながらこれから国のためにできることを精一杯務めたいとの決意を示してきました。

 長く続く献花の間、陸海空自衛隊の音楽隊が悲しくはなく、かと言って華美でもない曲を交代で演奏していました。どれも良い選曲だったと思います。政府・国会職員の皆さんは遅滞なく参列者を誘導し、花を準備し続けていました。このように国葬儀を支えた多くの方々の尽力に改めて感謝するとともに、安倍元総理のご冥福を今一度祈りたいと思います。

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